第1回スターリングラリー参加

第1回スターリングラリー参加 ©東京大学工学部 金子研究室 1997

▼平成9年8月1日、機械工学会が東京国際フォーラムで開催した「第1回スターリングテクノラリー」に、金子ゼミからは、弦2号、弦3号の2台のスタ-リング・カーが参加。

▼参加者のコメント
冨永康之
レースに出て他の車を見てみると、早かった車のほとんどはミニ四駆なみの大きさでバーナーを積まない蓄熱型のものであった。自分たちは走るかどうかも分からないところからのスタートだったこともあり、あまり軽量化に時間を注ぐことはできなかったが、速い車をつくるためには軽量化がもっとも重要であると感じた。

本篠聡

見本のエンジンがあったし実際動くものなので、スターリングエンジンカーくらい簡単に作れるだろうと考えていたところ甘い見込がが物作りでは通用しないことを痛感した。しかし、試行錯誤の末ようやく走ったときは、たまらない喜びが沸き上がった。今回の実習を通して、物作りに伴う様々なことを学び、考えさせられた。

福山弦

実際に自分で作れるかどうかを考えた設計の仕方が身についた。ただ作るだけでなく実際に動く物を作らなければならなかった点が一番大変だった。今回の大会ではまずエンジンを載せて走る物を作ることが目標だったのでレースの成績はさほど良くなかったが、次回の目標として性能をあげることを目指したい。とにかく予想よりはるかに大変でした。

gen33_lg21_lg2_lgen23_l

 

 

 

 

会場 風景と弦2号 エンジン形式:ディスプレーサ型仕様 行程容積:2.94 立方センチ 製作者:冨永康之、福山 弦、本條 聡

sanka_s

g31_lg3_lgen33_l

 

 

 

 

第1回スターリングテクノラリー記録証と弦3号 エンジン形式:ディスプレーサ型仕様 行程容積:78.5 立方センチ 製作者:冨永康之、福山 弦、本條 聡

第1回 スターリングテクノラリー 参加規定

1997年 日本機械学会100周年記念
第1回「スターリングテクノラリー」参加規定
日時 1997.8.1(木) 10:00 A.M.~5:00 P.M
場所 東京国際フォーラム

<競技名>
自作模型スターリングエンジンカーコンテスト
燃料・熱源が自由な外燃機関で、静粛で、効率が高く、環境に優れ、誰でも作れる、“21世紀のエンジン”のスターリングエンジンを自作し搭載した模型マシーンで、約13mの直線コースでのスピード、アイデアを競う世界初のレースです。

<参加クラス>
参加クラスには下記の2つがあります。
1.一般クラス(大学、短大、高専、企業、その他)
2.工業高校クラス(工業系学科を持つ普通高校も含む)

<競技のルール>
(1)競技場の材質および形状(予定)
・競技コースの床には合板もしくはコンクリートパネルに長尺塩ビシートを張ったものを使用する。
・競技コースは長さ20m(予定)、幅30センチで、平坦な直線コースとする。
・競技コースのフェンスはアルミ整アングルで、高さ5センチとする。
・スタートエリアの材質は競技コースと同一とし、エリアの大きさはW30センチ×L1mとする。

・スタートエリアは1/10の下り勾配を持つ。
・コースは2コース平行に設置し、スタータの合図に合わせて各出場者が手動で2台同時スタートさせるものとする。
・走路のゴールには停止エリアと耐火材によるクッションのストッパーを設け、また近くに消火器を設置する。

(2)スターリングエンジン
・エンジン形式、作動空間容積、回転数等は自由とする。
・作動ガスは空気のみとし、ヘリウム、水素などは使用しないこと。平均圧力は150kPa (abs)以下とする。
・熱源燃料は密閉容器に入ったガス燃料、もしくは転がり防止ケースで囲われたろうそく、固形燃料とし、マシーン本体に確実に固定すること。転倒したときこぼれる恐れのあるアルコールランプなどの液体燃料の使用は不可とする。
・燃焼加熱部付近は不燃材料を使用し、転倒しても車火災とならないようにすること。
・冷却には空気または水を使用し、水の垂れ流しは走路の状況を変えるので不可とする。氷を含めた冷却材の使用は不可とする。

(3)マシーン
・マシーンの大きさは L 60 センチ× W 28 センチ以内とする。
・マシーン本体には自作のスターリングエンジンが搭載してあること。エンジンはマシーン本体に確実に固定すること。
・スタート後、スタートエリア内にマシーンの一部を残してはいけない。
・熱エネルギー以外の形でエネルギーを蓄積してはならない。(ぜんまい、ゴム、バネ等の利用は不可)
・マシーンは前・後輪駆動、両輪駆動のいずれでも良い。プロペラ車でも良い。
・マシーンは3輪でも4輪でも良い。
・競技当日の午前中に、主に安全面に関するマシーンの予備検査を行う。

(4)競技方法
・13mの直線コースにおいて2台ずつタイムレースを行う。
・各チームとも出走予定時間までに各自で予熱を行ってエンジンを駆動させ、スタータの合図に合わせて2台同時に自力スタートさせる。
・スタートは、各自手動によりスタートエリア内に接地させる方式で行う。
・スタータの合図で2台同時にスタートし、タイムはストップウォッチを用いて計測する。
・競技コースの途中で停止した場合は、その場より再スタートするものとする。
・フライングの場合は改めて1度のみの再レースを行う。
・競技時間の制限は約3分とする。

(5)表彰
・スピード賞をはじめ、アイデア賞、奨励賞など多数のマシンを表彰する。

主  催 (社)日本機械学会(創立100周年イベント)後援予定 文部省
協  賛
(社)日本設計工学会
(社)精密工学会
(社)全国工業高等学校長協会
(社)国立高等専門学校協会
(社)実践教育訓練研究協会

平成8年度製作スターリング・エンジン

enjin_lst1_lst2_lst3_lst4_l

 

 

 

 

 

 

 

 

研究内容

平成9年「スターリングラリー」に参加する前年、平成8年度の機械工学ゼミナールでは、2ピストン型スターリングエンジンを製作しました。これは、スターリングラリーに参加した弦2、3号の原型ともいうべきエンジンで、ラリー参加車の開発に大いに貢献しました。 ●平成8年度
機械工学ゼミナールで製作した2ピストン型スターリングエンジン

▼仕様
行程容積 0.6283 立方センチ
回転数  1000rpm

▼製作者
田中成彦(エンジンの性能解析、部品加工工程)
徳永正秀(シュミット理論の基礎式、部品加工工程)
マルスディー・ブディウトモ(部品加工工程)
藤谷 宏(全体取りまとめ)

▼製作者の感想
田中成彦・マルスディ-・ブディウトモ
見本の設計図があったし実際動いたものらしいので、エンジンくらい簡単に作れるだろうとたかを括っていたところ、甘い見込が物作りでは通用しないことが痛感される結果となった。しかし試行錯誤の末ようやく動いた時には、たまらない喜びが沸き上がった。

徳永正秀
今まで、ものを作らずに、わけもわからず図面を書くことが多かったが、今回、図面に書いたものを実際に作ったことで、いろいろと得ることが多かったと思う。まず、図面を書くときに、頭に具体的なイメージがわいてくるようになったことである。あと、実際に加工してみて難しさを痛感したので、製作する人にとってわかりやすく、読みとりやすく、また、加工しやすく図面を書くことが重要だと思った。加工のための機械や道具を扱えるようになり、とてもいい体験ができた。だが、実際につくってみるとエンジンは動かず、もの作りはなかなか理論どおりにはいかず、たいへん難しいなあと感じた。

藤谷 宏
とりあえず、回って良かった。エンジンの性能計算を行っているので、実際のエンジン出力を計算して、比較したい。4年生は、製図、機械加工、性能計算を分担してよくやってくれました。来年のレースに出場できるように、車体作り等にも協力したいと思う。